舌下免疫療法

舌下免疫療法

 

平成26年10月から、シダトレンによるスギ花粉症に対する舌下免疫療法が始まりました。その作用機序については完全に解明されてはいませんが、理解しやすいところを少し説明しましょう。スギ花粉抗原は、鼻の粘膜にくっつくと、スギ花粉抗原特異的IgEという免疫グロブリンと結合します。この結合体は、肥満細胞にあるIgE受容体にくっついて、肥満細胞はヒスタミンという化学物質を放出させます。ヒスタミンは、鼻の粘膜にある分泌細胞に作用して多量の鼻水を分泌させ、神経に作用してくしゃみを引き起こします。これが鼻アレルギーの始まりです。舌下免疫療法は、舌の下に毎日スギ花粉抗原を垂らして、スギ花粉抗原特異的免疫グロブリンIgA、IgG4を体内に誘導します。これらは阻止抗体とよばれ、スギ花粉抗原がスギ抗原特異的IgE と結合する前にスギ花粉抗原と結合して、IgE抗体が肥満細胞への結合することを阻止することでヒスタミンの遊離が阻害されて、アレルギー反応は起きなくなります。これらの阻止抗体を十分量体内に誘導するのに、3~5年かかります。ほかの作用機序として、舌下粘膜にある樹状細胞に作用して顎の下のリンパ節で抑制型T細胞を誘導して、アレルギーを抑えることも関与しているようです。肥満細胞上のIgE受容体には二つのIgEが接合してさらにスギ抗原が結合するのですが、その一方にIgG(IgG4の可能性がある)が接合してしまうので、スギ抗原が結合してもヒスタミンの放出が起きないこともあるようである。舌下免疫療法が有効な症例は七割といわれており、三割はせっかく治療を継続しても効果がないようです。現在のところでは、どのような体質の人に効くのか分かっていません。ここであえてお勧めするのは、重篤な副作用がほとんどないこと、経済的負担が少ないことです。皮下注射による減感作療法では、800人に一人の割合で、アナフィラキシーショックという重大なな副作用が起きていましたが、舌下免疫療法ではその副作用は皆無です。維持液は薬価が100円で、三割負担では一日30円です。当院では、院内薬局ですから再診料と調剤料を入れて、ひと月の治療費は1350円ぐらいになります。また、スギにしか効かないのですが、春先の最大のアレルゲンはスギですから、ハンノキやヒノキの反応は残ってもその治療の期間や薬の量が減ることが期待されます。
昨年の秋から、通年性のアレルゲンであるダニに対する舌下免疫療法が始まりました。
一つのアレルゲンに対する減感作が、ほかのアレルゲンに対する感作を抑えることが報告されています。つまり、スギやダニに対する減感作療法を行うことで、ほかのアレルギーになることを抑える効果が期待できるということです。


アレルギー性鼻炎に対する手術療法
鼻詰まりのひどい症例には、レーザーによる下鼻甲介粘膜焼灼術、粘膜下下鼻甲介骨切除術や後鼻神経切除術を行っています。

この山は、少し難しかったかな、牧ノ戸峠登山口から九重分かれの避難小屋の少し手前から見た九重山です。