中耳炎

子供の中耳炎についてひとこと
夜中に急に発症する激しい耳の痛みで大泣きされて、夜間診療所に慌てて駆け込んだ経験はありませんか。中耳炎で、最初に行うことは鎮痛剤を投与して痛みを止めることです。日ごろから、常備薬の中に、熱さましの座薬を加えておくべきです。熱さましには鎮痛作用もあります。小さい子供では、経口薬は泣いて受け付けないことが多いので、速効性のある座薬をお尻の穴に入れるのがよいでしょう。旅のお供には市販されている小児用バファリンでもよいです。 とりあえず痛みが取れたら、日中に耳鼻咽喉 科を受診してください 。 急性中耳炎の痛みは、長く続くことはありません、たいていは一~二時間以内です。痛みがなくなると中耳炎が治ったと思っている親がいますがこれは大きな間違いです。まず、鼻汁が止まらないといけません、中耳炎が完治するのは、鼻汁が止まって一週 間ぐらい経ってからです。耳鼻咽喉科の先生が、中耳炎は治りましたと言われるまではしっかり通ってください。中途半端に、中耳炎が完治する前に通うのをやめてしまうと、痛みはないが聞こえが悪くなる滲出性中耳炎に移行していることがあります。大人であれば、耳がふさがった感じがするとか聞こえが悪いと訴えるのですが、子供はそのようなことは言いません。しきりに耳に手指を持っていくとか、機嫌が悪いとかそわそわして落ち着きがないとか、子供が示す日ごろとちょっと違ったささやかなサインを見落とさないでください。

慢性化膿性中耳炎
鼓膜に穴が空いている中耳炎を慢性化膿性中耳炎といいます。鼓膜に穴が空いていると、耳の外からの感染を受けやすくなり、耳だれを繰り返します。耳だれを繰り返すと、中耳炎から内耳炎を併発するようになり、聞こえの神経が障害されてきます。聞こえの神経が障害される前には、鼓膜をふさぐ手術をすると聞こえがよくなることが多いのですが、聞こえの神経が障害されていると鼓膜をふさいでも聞こえは良くなりません。耳だれを繰り返すと耳小骨という骨が解けることがあり、この場合にも、鼓膜をふさぐだけでは聞こえは良くなりません。内耳炎をおこすと、激しいめまいをきたすことがあります。年を重ねると、加齢による難聴が進行して、補聴器のお世話にならなくてはならないこともあります。鼓膜に穴が空いていると、補聴器で耳の穴がふさがれるために耳の穴がむれて、耳だれがでやすくなり、そうなると耳だれが止まるまで補聴器をつけられなくなってしまいます。そうなることを予防するために、鼓膜の穴を前もって塞いでおくことも検討すべきかもしれません。穴の大きさと、耳小骨の保存状態にもよりますが、40分ぐらいの外来での日帰り手術(鼓膜形成術)が可能です。穴が大きいとか耳小骨が解けていると、耳小骨の連鎖を再建する必要があり、全身麻酔下の手術(鼓室形成術)で、一泊二日の入院が必要です。