アレルギー性鼻炎は、症状が起きる時期から、通年性と季節性の分類される。通年性に発症させる原因(アレルゲンと呼ばれている)には、家のごみとダニが原因となっていることが多い。季節性のアレルゲンには、スギに代表される花粉がある。一般的に、花粉症といえばスギの花粉症を意すことが多いが、正確には、スギ花粉症であって、スギ以外にも、ヒノキ、イチゴ、リンゴ、キクなど花が咲いて花粉を飛散させるものは、すべて花粉症を発症させることができる。アレルゲンには、カビ、細菌、ゴキブリの死骸、ガの羽にある鱗粉、動物の毛などがある。アレルギー性鼻炎の三大症状は、くしゃみ、水溶性の鼻水と鼻ずまりですが、花粉症の場合には、三大症状のほかに目のかゆみを伴います。症状や発症の時期、鼻内所見、眼瞼結膜所見等を総合的の判断して、アレルギー性鼻炎か否かを診断します。幼小児では、鼻水に好酸球という細胞があるかどうかを検査します。ただし、好酸球があればアレルギー性鼻炎であると診断できますが、好酸球がなくてもアレルギー性鼻炎でないとは言い切れないので2~3回検査をする必要があります。小学生になれば、抗原特異的免疫グロブリンIg抗体を調べることができます。少量の血液を採取する必要がありますが、最近、一回の採血で39種類のアレルゲンを測定することができるようになりました。アレルゲン検索によって、治療が必要な時期を特定することはできますが、抗体量と症状が相関することはありません。
一般的な治療は、多くのHPで紹介されていますから、ここでは、当院の治療方針をのべることにします。くしゃみ、鼻水が非道い症例では、抗アレルギー剤の単独投与もしくは抗アレルギー剤の点鼻薬の併用で治療します。花粉症で見られるアレルギー性結膜炎では、抗アレルギー剤の点眼液を使用します。鼻ずまりがひどい症例では抗アレルギー剤と抗ロイコトルエン剤拮抗剤の内服を行います。花粉症では、花粉飛散開始の一週間から10日前から治療を開始すると快適に花粉症のシーズンに突入できることがわかっており、初期治療と言われています。初期治療は、鼻治療のほかに目にも有効性が報告されています。くしゃみ、鼻水に対してレーザー治療を行うことがありますが、鼻の粘膜の表面を軽く焼灼するのですが、効果が長持ちしないのでお勧めできません。鼻ずまりがひどい症例では、レーザー治療を行っています。この場合には、鼻の粘膜を深部までしっかり焼灼します。しかし、粘膜が再生してしまうので、効果は2~3年です。7~8年前から、粘膜を保存して下鼻甲介骨を下半分を切除する粘膜下下鼻甲介骨切除術を選択することが多く、経過を見る限りでは鼻の通りはすくなくとも5年以上は良好です。鼻中隔湾曲症がある症例では、根治的治療として、局所麻酔で鼻中隔矯正術と粘膜下下鼻甲介骨切除術を行っています。日帰り手術で手術時間は約一時間です。それでもひどい症例では、鼻の粘膜を支配している後鼻神経を切断する後鼻神経切除術を行っています。非特異的減感作療法として、ヒスタグロビンとのノイロトロピン筋肉注射を行っていましたが、ヒスタグロビンの供給が2016年春途中からストップしています。来春の供給は未定です。根治的治療が期待される治療として、舌下免疫療法がおこなわれています。現在は、スギとダニに対して特異的免疫療法が可能です。当院でも、両者に対する治療が可能です。重大な副作用が報告されていませんが、治療には、毎日服用して3~5年かかります。詳細は、舌下免疫療法のページを見てください。